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「岡山御津お正月研究会」が発信する岡山の中山間地域の魅力vol.4〜都市部と農村部の交流の場となる「とんど祭り」

「岡山御津お正月研究会」が発信する岡山の中山間地域の魅力vol.4〜都市部と農村部の交流の場となる「とんど祭り」

年神様をお見送りし、無病息災や五穀豊穣を祈る「とんど」

お正月に飾った門松やお正月飾り、書き初めなどを持ち寄って燃やす年中行事の火祭りは、地域によってさまざまな呼び名があります。岡山県では、「とんど」や「とんど焼き」、「とんど祭り」と呼ばれることが多いようです。

お正月が終わるとされる小正月(1月15日)頃に行われるこの行事は、お正月にお迎えした年神様をお飾りなどを焼くことによってお見送りをする神事。とんどの火にあたり、とんどの火で焼いたお餅を食べることで、その年の無病息災や五穀豊穣を祈ります。

高さ8mの迫力あるやぐらが完成!

「とんど」の規模や、やり方はさまざまで、岡山市内では岡山藩主の池田光政公が派手な祭礼を禁じていた時代もあり、こじんまりした「とんど」が多いそうです。県北の美作市などでは竹やヒノキで組んだ巨大なやぐらを燃やす「とんど」が行われてきたそうです。

「岡山御津お正月研究会」が活動している岡山北区御津大野地区では、中山間地域のお正月文化を幅広く伝え残したいとの思いから、大きなやぐらを燃やす「とんど祭り」を一昨年から開催しています。 祭りの前日から、地域の住民の方々や「岡山御津お正月研究会」などのメンバーが、3班に分かれて山に入り、ヒノキや孟宗竹、真竹を伐採。それらの材料を使って高さ8mの迫力あるやぐらが組みあがりました。

今年の「とんど祭り」は1月13日に開催され、13世帯18人が住む大野地区に、岡山県内から家族連れ30人ほどが集まりました。その中にはお正月研究会が作ったお飾りを買った人も数多くいました。子どもたちがお飾りや書き初めなどをやぐらに差し込んでいました。

お祓(はら)いをした後、年男と年女が火入れをすると、やぐらが勢いよく燃え始めました。竹が燃えるときの「ポ—ン」という大きな音に、子どもたちはビックリした様子。
やぐらのてっぺんに稲穂に見立てた真竹が仕込まれており、稲穂が倒れた方向が吉方で、稲が豊作になるそうです。今年は南西に倒れたので、この方向が吉方のようです。

やぐらの大部分が燃えたら、竹に挟んで焼いた餅を食べて無病息災を祈ります。この日は七草がゆや甘酒がふるまわれ、イノシシ肉の串焼きやぜんざいの販売も行われました。子どもたちはおいしそうにそれらに舌鼓を打ち、それを見守るおじいちゃんやおばあちゃんも皆、ニコニコ顔です。

「普段、この地域には子どもがいないから、にぎやかな子どもの声を聞くと元気が出るね」と90歳のおばあちゃん。「とんど祭り」は神事であるともに、都市部と農村部の交流の場ともなっていました。

「岡山御津お正月研究会」とは?

岡山市北区御津大野地区は、宇甘渓(うかんけい)の下流部に位置する人口18人の住むエリアで、ゲンジボタルなど希少な生き物が生息しています。

そのような環境の中、地域でできることを行い、農村部と都市部の交流や地域内のやりがいづくりを目的として、2018(平成30)年9月に立ち上げられたのが「岡山御津お正月研究会」です。

お飾りやとんど焼などの正月に関する農村文化を継承し、地域の魅力を体験するプログラムを実施することから団体名が付けられました。これまで同地区で採れた大麦を使った麦ストローや麦茶、ストローオーナメントなどの商品を開発しています。

商品のお問い合わせは okayamaoshougatsu@gmail.com まで。

文章・写真:片岡清